よく帰り道を長引かせたくて、ぐるぐるぐるぐる、自転車でも電車でも徒歩でも車でも、家に帰るのがどうしてもいやで、わざと遠回りをした
それはてっきり実家という、家族に縛られたあの空間に帰ることがいやだからだと思ってたけど、それはひとり暮らしになっても変わらなかった
今も現に、乗換駅を降りたくなくて、どうにか降りないでどこまでいけるかチャレンジしようとしてる
どうして帰りたくないのか、わからない
家に帰ったらお風呂に入って、ボディクリームを塗って、クリームパスタを作って、ドライヤーをして、一昨日の洗濯物を畳んで、明日のゴミの日のためにゴミをまとめて、溜まった食器を洗って、、とにかくやることだらけのはずなのに
それらが面倒くさいから帰りたくない、は理由じゃない
じゃあなんでなんだろう
ずーっと電車に乗って知らない街に辿り着きたい
街を歩くなら、見ず知らずの街を歩きたい
それは特に夜が良くて、夜はすごい
無敵みたいな気分になれる
夜の知らない街には顔がない気がするから、知らない人達に囲まれて、一人ぼっちでもニコニコ歩ける
一人になってから、私のことを知ってる人は誰もいない気がして、のびのびニコニコ暮らしている
今はまでの私には考えられないこと
もっとはやくこうするべきだったんだーと今知る
だけど、きっとその準備を4年かけてしてきたんだよ
もしも、高校生の頃東京の大学に行こうと決意したとしても、ひとりきり浮いてしまっていたと思う
楽しさよりも恥ずかしさや悲しさ、虚しさに襲われていたんだと思う
明日は頼んだCDがようやく届く
木曜からの出勤はそのCD聞いて行けるの、うれしいよね
知らない街に行ってみたいから、電車を降りられない
目の前、乗換駅を見送った
閉まる電車のドアを見て、高揚感が沸きあがる
こうやって私も、学校をさぼって一人観光客だらけの江ノ島に行きたい
そういう青春をしたかった ひとりで海に行けるような
そんな度胸も海もなかった、あの町には